昨夜から大阪に行っていた。
年度末の最終日ということもあり、大きな山を一つ超えるためだ。
大きな緊張を伴うイベントはいつも苦痛を伴うものでもあるが、その後の爽快感は全力を出し切ったスポーツの後の脱力感に似ている。
帰りの新幹線。
新入社員と思しき若者の集団。
着慣れないスーツと真新しい鞄、無意識のうちに高ぶる神経、ハイテンション。
桜の季節の光景。
そういえばあの頃、自分も同じように東京に向かったのだった。
入社式を終え、研修を終え、毎日が桜とお酒と笑いにまみれた日々だった。
自分が社会人になった頃も大氷河期だったけれど、あの頃と今で、社会は若者にとって優しくなることはなく、厳しくなる一方だ。
それでも、5年、10年と経てば今日の日を懐かしく思い、そして貴重な日々だったと思い返す日が来るだろう。
東京に戻り、最終日となった藤原新也さんの写真展「死ぬな、生きろ」を見に行く。
5回目。
おそらく個人の個展で同じ会期中に訪れた回数では最も多い。
さすがに最終日のしかも閉廊間際ともあって、サインを求める人、展示を見る人でごった返していた。
少しだけ藤原さんにご挨拶して、眼に焼き付けるべく展示を見て回る。
毎回心にしみ込んでくる作品が異なるのは、何も変わっていないように見えて日々少しずつ自らの中にも変化があるということなのだろう。
「旅立ちの花水木に埋もれ」
「あの世の人恋しくなる宵間」
「命という名の幻」
藤原さんは黙々と著書に円顔地蔵を描いている。
多くの人が藤原さんと話をしてすっきりとした顔で帰って行く。
募金箱に少し背伸びした金額を入れ、心の中で一礼して帰る。
相変わらず街の灯りは少ないが、明日は街中に初々しい緊張感を伴った笑顔が溢れるのだろう。
- 2011/03/31(木) 22:40:31|
- Leica X1
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