クライマーズ・ハイを見る。
どうしても見ておきたかった映画だ。
理由は二つ。
小学生の頃に数年に渡り父親が登山に連れて行ってくれた記憶と、オーバーラップする部分があると思ったから。
もう一つは、渡部さとる師匠の「旅するカメラ2」の「御巣鷹山」というコラムを何度も読んでいたから。
小学生の自分には、なぜ父親が山に登るのか、なぜ息子を連れて行くのか、そんなことを考えることすらできなかった。
ただ、山の上で教えてもらったことは今でも鮮明に覚えていて、それが自分の中の基準になっているものが、たくさんある。
残念ながら僕が中学2年の時に登った山の上で、父親は原因不明の病気にかかり、夏の1ヶ月を山梨の病院で過ごした。
それ以降親族等周囲から止められたこともあり、父親と山には登っていない。
今思うと、まだまだ幼い息子を連れて3000m級の山に登るのは容易ではなかったはずだ。
それでも息子を連れて行きたかった理由が、今なら少しだけわかる気がする。
映画を見ながら、何度も何度も父親の気持ちを想像した。
映画を見て帰ってきてから、「旅するカメラ2」の「御巣鷹山」を読み返してみた。
新聞社で働いたことがないから、以前読んだ時は現場の雰囲気や緊張感などはうまく想像することができなかった。
今回映画を見てから読み返すと、手に取るように、そしてあまりにもリアルに状況が想像ができてしまう。
あの日現場で見られたであろう壮絶で悲惨な状況、新聞社間の競争、新聞社内での葛藤、コラムには書かれなかったけれどそこに確かに存在していたであろう、様々な物語。
師匠が自身の日記で書かれているように、「忘れてしまえばそのことは「なかった」ことになってしまう。」
決して見た後に清清しい気分になれるタイプの映画ではないけれど、とても大切な時間を過ごすことができた。
ハッピーなものばかりを見ているわけにもいかないので、たまにはこういう日も必要なんだと思う。
- 2008/07/19(土) 23:59:04|
- CONTAX G2 Biogon 21mm
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駅に向かう道、横断歩道、信号待ち。
しゃぼん玉がふわりと流れる。
いったいどこから飛んできたのだろう?
頭上数メートルを優雅に泳ぐ姿に、気づく者はいない。
満員電車、ターミナル駅、急に空いた車内。
通り過ぎる女性の香水が、虫除けスプレーの匂いと重なる。
懐かしさを覚え、キャンプファイヤーを思い出す。
窓の外に懐かしい景色を見たような気になった頃、降りるべき駅に着いた。
今朝しゃぼん玉を見た交差点で、空を見上げる。
流れる雲の隙間から、うっすらとお月様が見えた。
- 2007/09/10(月) 21:41:13|
- CONTAX G2 Biogon 21mm
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空ばかりを見ていたら、危うく見逃すところだった。
歩く速度で街を行けば、たくさんの”小さな一生懸命”があふれていることに気づく。
空から見ると、僕達も同じように小さな一生懸命なんだろうな。

大塚
- 2007/04/27(金) 23:01:57|
- CONTAX G2 Biogon 21mm
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