有元さんのプリントを受け取るために、トーテムポールフォトギャラリーへ。
購入の意志を伝えてから少し時間が経ったが、この日の事を思うだけで嬉しさがこみ上げる毎日だった。
20×24という大きさのせいもあり、ポリガードがなかなか納品されなかったり、こちらの都合が付かなかったりで、長い間待ったような気もするが、その間わくわく感がずっと持続していた。
ギャラリーを訪れたのは、閉廊後。
大きな机の上に並べていただく。
袋からプリントが出てきた瞬間から、顔がほころびっぱなし。
あまりの嬉しさに興奮状態。
それもそのはず、4点のうち1点はariphotoのシリーズで展示作品を見ているが、その他の3点は写真集「西蔵より肖像」でしか見たことがなかったからだ。
写真集で何度も見ていたのに、想像以上の圧倒的な存在感に驚く。
20×24という大きさも相まって、生々しく、美しい。
嬉しさで胸がいっぱいになった。
プリントにも相当時間をかけていただいたようで、僕が写真集を見て購入を決意したことも考慮して、「当時の解釈と現在の解釈の中間ぐらい」のトーンで焼いていただいたとのこと。
シャドー部の像のぎりぎりの出方など、これを出すのに一体どれぐらいの時間と印画紙を消費されたのだろうか、と想像すると、またいっそう喜びがこみ上げてくる。
ギャラリーを出てからもずっと笑顔が抜けない。
すれ違った人はさぞかしおかしな人だと思ったことだろう。
少し暖かくなった夜の心地よさも手伝って、幸せな興奮がずっと冷めない。
遠回りをして、混雑しない電車に乗り、抱えるようにして帰ってきた。
オリジナルプリントを買うという行為は、全肯定を形にする行為。
その上買う側は好きな作家の生み出すものを形あるものとして所有できる。
とても幸せな行為だと思う。
僕が有元さんのことを知ったのは、カメラ雑誌の後ろの方にある新刊紹介でだ。
この記事だけを見て購入を決め、電話で注文した。
確か99年末のこと。
僕はまだ学生だった。
東京に来て本人からオリジナルプリントを買うことになるなんて、その頃は想像することすらできなかった。
生きていることで、いろんなことが繋がっていく。
オリジナルプリント購入を機に、写真集にもサインを入れていただいた。
また一つ、宝物が増えた。
TPPG、701
- 2008/03/08(土) 22:38:08|
- CONTAX i4R
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台風一過の空を、ベランダでのんびり撮影した後、
2Bへ。
グループ展用のブックを渡部さとる師匠に見てもらう。
並び順に関する具体的な話。
「写真の文法」に関する視点や考え方のヒントをもらった。
その後
traverseを見ながら話をする。
ぱらぱらとページをめくりながら質問をすると、次から次へとおもしろい話が出て来る。
写真の奥にあるストーリー、撮影時の状況、食事の話やトラブルの話、、、、。
たくさんの国や島々を旅してきた写真家が、その写真を目の前に旅の話をしてくれる。
これ以上贅沢な時間があるだろうか?
師匠が別の部屋に仕事に戻った後も、しばらく
traverseを眺めていた。
たった今聞いたストーリーを、写真に重ね合わせてみる。
「写真の文法」のヒントを元に、並びやつながりの文法を紐解いてみる。
気づくと随分時間が経っていたが、
traverseの中の島々にいるかのような、ゆっくりと静かな時間を過ごすことが出来た。
- 2007/07/16(月) 23:14:46|
- ROLLEIFLEX 3.5F Planar
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雨音で目が覚めた。
昨日のトークショー参加時に購入した
旅するカメラ3を読むことにする。
写真集traverseはその後だと決めていた。
ジャズでも聴きながら読もうと思っていたが、BGMは雨音に変更。
カメラの話や撮影の話、、、、いつもどおり楽しい読み物として読んでいたら、ふいをつかれた形で後半の物語に感動して涙してしまった。
写真を撮るということは、大切な思い出やつながりを形にすることではないか、そして形にするという行為は、そのつながり全てを肯定する行為ではないか、と思えてくる。
旅するカメラ3を一気に読み終えた後に
traverseを見る。
旅するカメラ3が
写真集の長いキャプションのように思えて、様々な物語が頭の中を駆け巡る。
一人の写真家の人生が凝縮されているような、濃密な時間。
カメラもフィルムもフォーマットも様々で、その全てがOKなのだ、と思えてくる。
長い間写真を撮りつづけている者のみが獲得できる時間。
無性に写真が撮りたくなった。
701
- 2007/07/14(土) 13:19:28|
- OLYMPUS E-410 Planar 50mm
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ギャラリー冬青にて、
「渡部さとる写真展 traverse」を見る。
本日はトークショー。
先日行かれたアルルのフォトフェスティバルでの写真をスライドショーで見ながら、お話を聞く。
おもしろかった。
そしてちょっぴり感動した。
10月にパリで展示することが決まるまでのいきさつは、まさに偶然の出会いの重なりの上に成り立っていた。
点と点が絶妙なバランスのもと繋がっていく感じ。
必然の偶然、とも言える出会いが短い期間の中に凝縮されていて、淡々と語る師匠の言葉に何かとても大切なことが凝縮されているように感じた。
トークショー終了後の静けさの中、改めてプリントを見る。
本や写真集、以前の写真展で見たことのあるプリントも多いのだが、やはりオリジナルのプリントは目の前で見ると吸い込まれそうにな魅力がある。
もう一度じっくり見に行くつもりだ。
今回の展示および写真集出版は、前回の展示が好評でプリントが売れたことがきっかけで実現したそうだ。
展示プリントや写真集が売れることで、次の人が写真集を出しやすくなり、さらにその人の写真集が売れてまた次の人の展示や写真集出版がしやすくなり、、、という風になることを願っている、と話されていたのがとても印象的だった。
- 2007/07/13(金) 23:59:32|
- CONTAX i4R
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青山・ラットホールギャラリー(
http://www.ratholegallery.com/index.html)へ。
以前「荒木本!」の刊行記念トークショーの際に予告されていた、アラーキーの花の
写真展を見るためだ。
「長年撮りつづけている
モノクロの花のみで
写真展をやる予定だ」とのお話を聞いて以来、ずっと楽しみにしていた。
もう随分前になるが、京都の美術館「えき」でメープルソープとの『百花乱々展』を見に行った時に、二人の撮る花が対照的だったことを思い出す。
アラーキーの花の写真は静止していない、そんな印象を受けた。
今回の展示は
モノクロのみなので、あの時に感じたものよりも幾分静かな、静の印象を受けるのではないか、と予想していったのだが、そんなことはなかった。
この人にはまるで「既成概念」という概念すらないのではないか、と思えるほどに様々な花の写真が続く。
ヤモリンスキーやチロも登場するし、陽子さんが無くなった後に出された「空景・近景」に収められている写真もある。
そういった背景が頭にあるからだろうか、写真の向こう側の世界にどんどん引き込まれる。
アラーキーが写真を撮っている姿やその時の思い、そこに流れる時間を想像してしまう。
今回展示されているプリントは、同時刊行の
写真集の原稿になったものだという。
写真集はHystericシリーズと同じかもう少しボリュームがあり、限定350部でサイン入り。
少し高かったが行く前から購入は決めていた。
アラーキーの16年が詰まった
写真集だけあってずしりと重いのだが、不思議と帰りの足取りは軽かった。
- 2007/05/19(土) 19:45:18|
- CONTAX i4R
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